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2010年05月19日 11:00【長崎県立大学との共同研究】牡蠣酵素分解ペプチドが慢性肝障害を抑制する効果を見出しました

ノエビアグループの常盤薬品工業株式会社(東京都港区、社長:中野 正隆)は、長崎県立大大学院・人間健康科学研究科(田中 一成 教授)との共同研究において、慢性肝障害モデルラットを用いて試験した結果、牡蠣酵素分解ペプチド(Oyster Extract Peptide:OEP) ※1が慢性肝障害を抑制する効果を見出しました。

昨年の大会(第63回・長崎)においては牡蠣酵素分解ペプチドの急性肝障害に対する抑制効果を報告しています。

 

※1 牡蠣酵素分解ペプチド(Oyster Extract Peptide:OEP)

酵素とは主に腸内で食べ物を消化・分解してくれる大切な物質の事です。末消化・末分解では適切に生体内に栄養を吸収されません。今回開発した牡蠣ペプチド素材は、生牡蠣に含まれていますタンパク質(高分子)を酵素によって低分子分解した吸収に優れた牡蠣ペプチド素材です。

 

研究成果は2010年5月21日(金)〜23日(日)『第64回 日本栄養・食糧学会大会』(徳島・アスティとくしま)にて発表いたします。

<演題名>『NDMA※2誘導性慢性肝障害モデルラットにおける牡蠣酵素分解ペプチドの影響』

「第64回 日本栄養・食糧学会大会(徳島・アスティとくしま)」

http://www.j-tac.com/eishoku64/index.html

 

※2 NDMA

一般には、ジメチルニトロアミンと言い、慢性肝障害を誘発させる方法に良く用いられている成分です。特にこの成分は発ガン性物質として知られ、近年問題視されている物質です。

 

【試験方法】

生牡蠣(広島産)を2種類の酵素分解法によって得られた検体を、濃縮乾固したOEPを用いて試験を行いました(TypeAとTypeB)。

動物は生後7週齢の雄ラットを1群6〜7匹とし、5群に分け@正常群、A慢性肝障害発症群、B慢性肝障害発症群+OEP TypeA群、C慢性肝障害発症群+OEP TypeB群とDその2倍量投与群を設け(下記注釈)摂取を開始し、各OEP摂取後約6週間後に得られた血液を用いて生化学検査※3AST※4・ALT※5・D-Bil※6・TNF-α※7の測定を行ないました。

(注釈) 動物試験群について

@肝障害を発症しない正常動物+通常飼料

A慢性肝障害発症動物+通常飼料

B慢性肝障害発症動物+牡蠣A添加飼料

C慢性肝障害発症動物+牡蠣B添加飼料

D慢性肝障害発症動物+牡蠣B 2倍添加飼料

 

※3 生化学検査

生化学検査は血液や尿中に含まれている多くの化学物質を測定し、身体の健康状態や疾患の治療効果の判定を行なう重要な検査の一つです。

※4 AST

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを意味します。肝臓や心筋(心臓の筋肉)、骨格筋などの障害を推測できる検査項目です。特に肝疾患(急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝癌、脂肪肝など)で高値になる事が知られています。

※5 ALT

アラニンアミノトランスフェラーゼを意味します。肝臓組織の障害を推察できる検査項目です。ASTと同様に肝疾患で高値になる事が知られています。

※6 D-Bil

直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)を意味します。このビリルビンの異常をきたす疾患のうち、高値になる疾患は肝炎、肝硬変などがあります。

※7 TNF-α

腫瘍壊死因子(TNF)は腫瘍壊死作用を有する活性化マクロファージ由来のサイトカインとして見出され、炎症反応のメディエータの1つです。

【試験結果】

各OEP摂取後の生化学検査AST・ALT・D-Bil・TNF-αの測定結果より、慢性肝障害を発症した動物では上記の測定項目で顕著な高値を示しました。

これに対し、酵素分解法で得られたOEP(TypeAとTypeB)を添加した飼料で与えた動物では全ての検査項目で抑制する傾向を示し、特にALTおよびD-BilではA慢性肝障害発症群と比べ有意に抑制しました。これによりOEPは慢性肝障害の改善に対し有望な素材である事が示唆されました。

 

 

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